【Audible】木下斉(著)『まちづくり幻想』の感想/要約/書評【未来に無責任なクソコンサルとヤバい公務員はいらない】

みなさん、こんにちは。
今日は木下斉(著)『まちづくり幻想』の感想についてご紹介します。
※本記事はAmazon オーディオブックサービス「Audible」で耳から聞いた情報を元に書いています。
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この記事の目次
本書をざっくり紹介すると
なぜ戦後一貫して国が莫大な財源を投入したにもかかわらず、地方は衰退し続けるのか。
地元をどうにかしたいと膨大な予算を獲得し事業に取り組んだ人々が大勢いるのに、思うような結果が出ないのはなぜなのか。
本書ではその原因を、地域にかかわる多くの人達があらゆる「まちづくり幻想」に囚われているから、と説明しています。
著者のいう「まちづくり幻想」とは、皆が常識だと思い込んでいることが、実は現実とは異なり、それを信じ共有してしまうが故に、目指す姿とは反対に地域の衰退を加速させてしまう本質的な問題のことをさしています。
失敗する地域再生事業の多くは、この幻想に囚われてしまっていて、やってはいけないことを初期段階で行なってしまっているのです。
加えて、一度スタートしてしまうともう後戻りができない、ということも「まちづくり幻想」の厄介な部分であるとしています。
本書では、地域創生にかかわる全ての人の「まちづくり幻想」からの脱却、つまりは地域創生のおける思考の土台のつくり直しから始めることが必要であると主張しています。
高校時代から地域事業に携わる著者が、豊富な経験談や日本全国の事例を交え、「まちづくり幻想」が生じる原因、背景やその構造をひとつひとつ丁寧に明らかにし、まちづくりにかかわる全ての人にエールを送る一冊となっています。
著者の木下斉さん、Twitterなどの発言も痛快で手放しに応援したくなります。
本書に書いてあること(メモ)
地域事業におけるまちづくり幻想
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地域事業に答えがあると考えていること自体がまちづくり幻想に囚われている
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自治体に必要なことは大博打で後世に遺恨を残すような大失敗をしないこと
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多くの成功地域は華やかなチャレンジをしているように見えるが、日々の地道な努力の結果
コロナで東京一極集中が終わる、はフェイクニュース
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コロナ禍で地方の時代が訪れる、は幻想
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大企業による地方移転は、実態を見る必要がある
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メディアは大企業が東京に見切りをつけて地方へ移住する話が好き
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地方拠点で地域が潤うという事例は、戦後の電気産業が国際競争力を持っていた半世紀前の話で正社員雇用が前提
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企業城下町モデルで悩みを抱える都市は多数(※)
※豊田市(トヨタ)、北九州市(新日鐵)、宮崎延岡市(旭化成)、山口県宇部市(宇部興産)、茨城県日立市(日立グループ) -
地域産業で大切なのな重層的な集積、中長期に渡って地元資本でやっていけること
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地方企業が地元から先進的な機会を提供すると、優秀な人材が集まり、活力を創出
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コロナ禍でこれから地方の時代、大企業の誘致、外からきてもらってどうにかするという思考の土台はやばい
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先駆的な取り組みを自分たちから
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地元消費が東京本社に還元して終わっていないか
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バスク自治州に学ぶ地元資本主義
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東京一極集中の終わり、これからは地方の時代は間違った情報
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統計情報を見れば、多少関東近郊3県の郊外に多少移動しただけ
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東京都内の不動産市場は上昇トレンド
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何もせず棚ぼたで東京から地方へ移動し、何もせず地方が再生するなんて都合のよいシナリオは起こり得ない
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人口減少を地方創生の出発点にしたことが誤り
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地方創生とは本来稼ぐインセンティブを復活させ、地方が独自かつ多様な発展をしていくための権限と財源の一体的な委譲を考えるものであったはず
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それがいつの間にか回復不可能な人口減少という問題にすり替えられた
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人口論に支配された地方創生論はどこまで行っても無理が生じる
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人口論に依存しない地域活性化策が必要
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フランスやパリ、北海道江丹別を見れば単に工業化すれば地方が活性化するわけではないことがわかる
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ハイテク産業ばかりが勝ち組ではない
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インバウンドしかないは幻想
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国内旅行消費額26兆1千億における日本人観光客82.7%、インバウンド17.3%(4.5兆)しかない
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安くたくさんは地方には厳しい
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売上よりも利益率を見るべき
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地域事業におけるプライシングの間違いは構造的な欠陥
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生産者が生産物を購入したことがないことが理由
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適切な値段にギアチェンジできるかが地域の存続条件
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付加価値の高い商品を少人数で生産する
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モノ経済とコト経済を効果的にバランスさせることが重要
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一つの事業に集中することが重要、というのは幻想
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転換期においては適切な多角化をしていた企業が経営基盤を維持できる
意思決定層がいだく幻想
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トップの仕事は人事が9割
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筋の良い事業に適切な予算を確保すれば成功する、は幻想
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何をやるかじゃなく、誰とやるか
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予算を取ることが評価され、全国各地に無用の再開発施設を乱立
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自治体の意思決定者は予算獲得の前に、戦略を作る時間と人材を育成しなかればならない
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成功事例の横展開がそもそもの誤り、幻想
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支援制度ありきでスタートする後発地域は、出発から道を誤っている
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成功事例横展開の時点で需給が崩壊し、失敗が決定的になる罠
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かつての工業団地、リゾート開発はこの典型
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国費をかけた開発用地は未だ売れ残り、ショッピングモールや太陽発電用地に
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若い女性が地元から逃げていく原因は、地元企業経営者の理解が足りず、やりがい、魅力がないから
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若い女性が東京へ向かう理由は、東京に魅力があるからではなく、地方社会が女性に閉鎖的で成長機会に乏しいから
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採用側が女性の希望に合わせて事業体制を変えるという発想がそもそもない
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宮崎県日南市油津商店街の事例はショック療法だが、変化が加速する
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大企業誘致でなく地元採用の実績が大きく変わる
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ブラック労働を加速する経営陣が求める矛盾する条件
1.いい人材欲しいけど給料上げたくない
2.終身雇用しないけど会社には忠実でいてほしい
3.即戦力になって欲しいけど教育投資はしない
4.積極性は欲しいが自分には従って欲しい -
地方にチャンスの副業(複業?)人材募集
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重要なのは意思決定層が柔軟に変化を起こしていること
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未来に悲観的な意思決定層は席を降りろ
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前向きなトップが積極的に席を譲っていく地域は成功していく
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「20年30年先に生きていない奴が意思決定するべきじゃない」
集団圧力による幻想
- 地域事業の要は、安易に思考を放棄せずに自分たちでリスクを取って実践するチーム
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成功者は地元で妬まれ、地元にお金を落とせなくなる
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原因は悪しき横並び精神
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補助金に依存する業界団体は、成功者に過剰に反応する
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「まずい」を言えない、協議できない
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みんなで頑張ろう、は私は責任取らない、の意
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みんな、という単位を壊そうとする人は集団から排除される
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地域事業においても物事を動かすとき、決裁者は話す内容で判断していない
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誰が話すかで判断している
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外圧はグループ軸、レイヤー軸、外部評価プレゼンス軸
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様子見は挑戦者を潰す
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応援は売上に貢献して行動で示す
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7、8人から反対されているうちにやるのが仕事
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ライバルは潰すのではなく育てる
外部頼みの失敗
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第2次安倍政権の地方創生政策予算、地方へ振り向けたお金の4割が東京へ還流
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地域の経済構造を頭に入れないと、地元にお金が残らずやればやるほど貧乏になる
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優秀な外の人に手伝って貰えば、という幻想
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地域内外収支で黒字かどうかを考える
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平均所得は労働所得と資本所得。地域の発展には資本所得を高めていくことが大事
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地方に必要なのは単にゆるい関係を持つ人口ではなく、明瞭に消費もしくは労働力となる人口を移住定住せずとも確保していくところに価値があるはず
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外注になんでもやってもらって地元には何にも残らないという外部との付き合い方は不健全
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コロナ関係で地方に配られる自由度の高い交付金の使い道に、外のコンサルタントはすでに営業をかけている
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外注主義で奪われる地域の3つの能力
1.執行能力
2.判断能力
3.経済的自立能力 -
外注よりも人材へ投資する
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電話営業してくるハイエナコンサルは暇な人員を抱えている、信頼してはいけない
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地域おこし協力隊を呼び込む際の地域側のポイント
1.兼業規程は一律OKにする
2.手に職人材を優先
3.募集側も具体的なプロジェクトを用意しておく
4.民間メンターを用意
5.集落支援業務は分離 -
自己犠牲の地域事業をやめる
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初めての地域事業4つの原則
1.負債を伴う設備投資がないこと
2.在庫がないこと
3.粗利率が高いこと(8割確保をめざす)
4.営業ルートが明確 -
重要なのは補助金などのもらうお金よりも稼ぐお金
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投資する前に営業する
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営業先回り、まず営業し顧客が見えている状態で事業を始める
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今の地域事業において最初に失敗したものが我慢してうまくいくことは99%ない
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貴重な人生を、縁もゆかりもなくかといって本気で現状を変える気もない組織で奮闘するのはあまりにも悲惨
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組織の維持を目的化し仕組みの犠牲者になってしまわないように無理だと思うものは全力で回避すべき
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もしその地域をどうにかしたいのであればその組織で犠牲者になるより別の組織を立ち上げて事業を回しその様子を見せる方がよほどためになる
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外から地域に入る人は、地域貢献に対す矜持は持ちながらもダメな時の割り切りも必要
まちづくり幻想を振り払うためには
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まちづくり幻想の多くは過去の古い常識、間違った噂、そうあってほしいという願望
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まちづくり幻想とは誰から与えられるものではなく常に我々の内
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現実と幻想の乖離がプロジェクトを失敗させる
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幻想と現実を取り違えないことが地域プロジェクトにおける極めて重要なこと
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先を行く地域は未来を語り、適切な協力者を常に募っている
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官の意思決定者がやること
1.外注よりも職員育成 自前主義を取り戻す
2.地域に向けても教育投資が必要
3.役所も稼ぐ仕掛けを 稼ぐは目的でなく手段 -
役所の人間がやること
4.役所の外に出て自分の顔を持つ
5.役所内の仕事に外の力を使う
6.既存組織で無理なら新たな組織を作る -
民間の意思決定層がやること
7.地域トップが地域の未来を作る -
民間の人間がやること
8.バイローカルとインベスとローカルを徹底する
9.一住民が主体的にアクションを起こすと街は変わる -
外の人間がやること
10.リスクを共有し地元民でないポジションを持つ
11.場所を問わない手に職をつける
12.先駆者のいる地域にまずはかかわる -
外の人で最悪なのは地域の予算でノンリスクで納品だけして対価をもらっていなくなるクソコンサルの存在
おわりに
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地域再生においてもCFもマイナス、PLも赤字でも政策的な文脈に乗っていれば成功、という事例は多い
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内実が最も現れる決算を見ていない、というのは霞ヶ関でも同様
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ここまで考えることが大切、という範囲の拡張が必要
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大事なことは大体めんどくさい
本書を読み終えての感想
スッキリ爽快、が正直な感想です。
聞かせたい人がたくさんいるなー
読ませたい人がたくさん浮かぶなー
という書籍です。
官公庁のお昼休みとかに、Audible館内放送すればいいんじゃないですかね。
地方創生、地域活性というニュースからイメージされる前向きなイメージこそ幻想で、その多くの裏では、本書で細かく説明されているような、現実とは異なる部分が多く存在するのであろう、ということが一番の収穫です。
今後、地域再生事業の大々的なニュースや報道を見ても、ほんとのところは・・?と見てしまうでしょう。
苦労の果てに、名実ともに成長の軌道に乗っている自治体の事例も多くあるはずです。
ただそのすぐ隣の地域では、クソコンサルと、幻想にしがみつきたいヤバい公務員が跋扈しているのが常態化している、この現実と向き合う必要があるな、と強く感じました。
また、人口減少と地方創生を切り分けて考える必要があることや、地域の経済構造を視野に入れ、地元にお金を還流することのできる事業選びなど、目から鱗の内容でした。
本書を読まれて、地域事業にもう少し詳しくなりたい方は、木下斉さんの過去の著書も読むことをおすすめします。
『地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門』もおすすめですよ!
今は地元を離れて都市部で生活している地方出身の方、将来は地元に戻って何か地域に貢献できることをやりたいな、と漠然とそんな考えを持っている方、間違いなく著者の本を読んでみることおすすめします。
それでは。
#まちづくり幻想
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